神経系疾患の病態解明
(1) PML(進行性多巣性白質脳症) PMLはHIV感染や抗癌剤治療などで免疫力が低下した状態で、脳の白質に多巣性の病変が生じる疾患ですが、JCウイルスがオリゴデンドロサイトに感染して脱随が生じることが疾患の本態です。JCウイルスによる疾患発症機構は不明な点が多く有効な治療法は確立されていません。当教室ではJCウイルスの基礎的研究を行っていますが、病理診断としてJCウイルス感染の有無もオリジナル抗体で診断可能でコンサルトも受け付けています。
(2) LYG(リンパ腫様肉芽腫症) 脳の血管周囲性に異型リンパ球が増殖する疾患です。従来のLYGは肺に生じるEBウイルス陽性のB細胞性リンパ腫とされていますが、脳に生じたものはT細胞が多くEBVは陰性であるためLYGとは異なる疾患として考えることができます。当教室では脳の病変については、血管中心性低悪性T細胞リンパ腫という名称を提唱しています。
(1)PML
(2)血管中心性低急性症T細胞リンパ腫
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- Suzuki, T., Orba, Y., Okada, Y., Sunden, Y., Kimura, T., Tanaka, S., Nagashima, K., Hall, W. W., and Sawa, H. The human polypma JC virus agnoprotein acts as a viroporin. PLos Pathog., 6, e1000801., 2010.
- Takahashi, K., Orba, Y., Kimura, T., Wang, L., Kohsaka, S., Tsuda, M., Tanino, M., Nishihara, H., Nagashima, K., Sawa, H., and Tanaka, S. The Relationship between Methyl CpG Binding Protein 2 and JC Viral Proteins.